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千分の一話噺

第410章 異世界アパート3


私は仕事が休みの日には必ず異世界に飛んでいた。
異世界にはパソコンもスマホもない。
電気もガスも水道もない。
現実世界とはまるで違う不便な生活なのに、何故か心地良い。

異世界での暮らしもナタリーの店で働かせてもらってる事で収入を得たからだいぶ『らしく』なってきた。

初めはナタリーに服を借りていたが、買い物に行けるようになって服も揃えた。
次はこっちの食事も自炊出来る様にならないといけないのだが、料理自体が苦手なのだ。
「うぅ…、電子レンジがあれば何とかなるのに…」
とは言え、電気もないので使えないが…。
「お母さんに料理教わっとくんだったなぁ」
今さら田舎に戻って教わる訳にもいかないし…。

ここはやっぱりナタリーにすがるしかないか。
お店でもナタリーが作る料理は大好評だし、彼女に教われば間違いない。
「ナタリー、私に料理教えてくれないかな?」
「料理?ダメダメ、私料理苦手だから…」
意外な答えが返ってきた。
「えっ?でもお店で料理してるよね…」
「お店の料理は妹が下ごしらえしといてくれてるから出来るのよ
料理だったら妹に教わると良いわ」
妹のカタリナさんは午前中から仕込みを行い、ナタリーと入れ替わりで帰るそうだ。
ナタリーのお店で一ヶ月以上働いているけど初めて聞いた。

早速、ナタリーとお店に行った。
「あれ?お姉ちゃん?
どうしたの?こんなに早く…」
「アヤコが料理教わりたいんだって…って会うのは初めてよね」
私はお店に入って思わず目が点になった。
「えっ?ナタリーが二人?」
「言ってなかったわね
私達、双子なのよ」
ナタリーがさらりと言った。

双子なのにナタリーは料理苦手なんだ…と思わずにいられなかった。


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