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千分の一話噺

第398章 カーネーション



何時からだろうか、カーネーションを見なくなったのは…。


勿論、花屋には売ってるし、庭に植えている家もある。
目には入っているはずなのに…。

見えない。
見えてない。
見る事が出来ない。

もうすぐ華やかなカーネーションがあちらこちらを彩るだろう。
それでも私の目には映らない。

もう遥か昔の事なのに…。
いつまでも…いつまでも忘れられない。
忘れる事が出来ない。

多分私が生きている限り、カーネーションを目に映す事はないだろう。


それでも私はカーネーションが好きだ。
あの人が愛した花だから…。
私よりも…、誰よりも…、あの人が愛を注いだ花。



私はあの人に何か出来たのかな?
私の愛はあの人に届いていたのかな?
あの人は、私の事を…。

この想いがいつまでも頭から離れない。

もしかしたら私は、あの人に迷惑掛けてただけなのかも知れない。
もしかしたら私は、あの人の優しさに甘えていたのかもし知れない。
もしかしたら…、もしかしたら…。


end
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