第394章 自粛?
新型ウィルスが蔓延し、日本中が自粛ムード一色になった。
「…テレワークねぇ」
このご時世だから仕方ないとは思うが、何で普通に自粛にしないかね。
まぁ、俺の仕事はパソコンがあればどこでも出来るから良いけど…。
自粛の世の中、どこも休業中。
「この時期は、毎年菖蒲湯をやってる宿に行ってたのに休みなんだよな…
何処か静かで一人になれる場所ないかな…」
俺はネットでのんびり出来る場所を探した。
「ん?すずらんの里?」
気になる場所を見つけた。
山梨県笛吹市には、貴重なニホンスズラン種の群生地があるらしい。
「そういえば、子供の頃、庭に鈴蘭が咲いていたな…」
お袋が好きで育ててたのを思い出した。
「『すずらんの里祭り』なんてのも自粛でやらないんだろうな…
観光地も大打撃だな」
とはいえ、人の心配をしている場合でもない。
たまたま俺の周りには感染者がいないだけで、知り合いが感染なんてしたら俺まで二週間の隔離となってしまう。
それは逆に言えば、俺が感染したら周りの人達に大迷惑を掛けると言う事になる。
「鈴蘭かぁ…久しぶりに見たいかも…
人は少ないだろうけど、やっぱり行くわけにはいかないか…」
俺は大人しく家で自粛する事に決めた。
ふと心の中で鈴蘭が揺れていた。
end