第393章 別れ
メイストームデーと呼ばれる日がある。
その日は、別れを切り出しても良いとされる。
そして、ここにもメイストームデーを利用しようとする二人がいた。
「えーと…」「あの~」
二人は同時に話し出そうとした。
「ん?なんだ?」
「そっちこそ何?」
変な間合いに苦笑いする二人。
しばらく沈黙が続いた。
「俺と…」「私と…」
また同時に話し出そうとした。
「別れてくれ!」「別れてっ!」
構わずに言葉を続けた。
「「えっ?」」
二人は顔を見合わせた。
「「別れて?」」
二人は一瞬首を傾げた。
「何でだよ!?」「どうしてっ!?」
実に息の合う二人だ。
「いやいや、俺がなんかしたか?」
「ちょっと、私の何が悪いわけ?」
一気に気まずい雰囲気になった。
「「ん?」」
ここで二人は気付いた。
(俺と別れたい?)(私と別れたい?)
やはり変な間合いにお互い苦笑いする。
(なんだ、問題ないじゃん)(これってラッキーじゃない)
「そっかぁ、お互い別れたいなら…」
「このまま、サヨナラで良いんじゃない…」
「今までありがとうな」
「こっちこそ、ありがとうね」
二人は笑顔で別れた。
end