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千分の一話噺

第392章 パトロール


「先輩…僕なんか五月病みたいっす」
そこに緊急通信が入った。
『関係各局、傷害事件が発生してました…
近くの…』
俺達のいる場所から近い。
「五月病ねぇ…ガキじゃねぇんだ!甘えてんじゃねぇぞ!
犯人は待ってくれねぇんだ!」
俺は配属されたばかりの新米の教育係りを任されていた。
キャリア組だからといって甘やかす気は更々ない。
「おら!行くぞ!」
「あっ先輩、まだベルトが…」
新米がシートベルトを付けてる間に車を急転させた。
「パトランプ出せ!」
「はい!」
サイレンを鳴らしながら車の間をすり抜けて行く。
「せ、先輩…危ないっす!」
「黙ってろ!舌噛むぞ!」
全く、なんでこんな柔な野郎が刑事なんだ?
とにかく現場に急いだ。

現場に着くとすでに巡回中の警官が加害者を確保していた。
「先輩、無駄足でしたね」
「バカ野郎!捜査に無駄足なんてねぇんだよ」
そこにまた緊急通信が…。
『関係各局、盗難事件が発生しました…』
やはり現場は近かった。
「次、行くぞ!」
新米を連れて次の現場へ向かった。
しかし、この事件も他の捜査員が早く着ていた。

『関係各局…』
また事件だ。
「なんだ?今日は?」
「先輩、まるで五月雨式っすね」
新米が聞き慣れない言葉を口にした。
「五月雨式?なんだそりゃ?」
「五月雨の様に次々に仕事が続く事っすよ」
高卒の俺と違って学はあるが…。
「お前はいずれ鎧兜を着けるんだろうが、まだまだ先が長いな」
「なんすか?それ?」
「キャリア組は俺達の上になるんだ…
兵隊と違って鎧兜は必要だろ?
まぁお前が着けたら五月人形だけどな」
「先輩、酷いっす!」
キャリア組の出世は早い。
五年もすれば俺の上司になるかもしれないからな。
今のうちに鍛えてやらないとな。


end
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