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千分の一話噺

第391章 異世界アパート


やっぱり玄関を開けると一面の銀世界だった。
「どこでもドア?
…な訳ないわよね」
これでは買い物にも行けない。
試しにドアをそっと開けて、隙間から外を見てみた。
「あれ?あれ?」
外は普通に春の景色だ。
一回閉めて、普通に開けた。
「…冬」
やっとこの部屋を普通に出る方法を見つけた。

しばらくして覚悟を決めた。
冬服を引っ張り出し、しっかり着込んで玄関を開けた。
外に出てみると一面の銀世界ではあるが、町中であると分かった。
振り返ると玄関があり小さい家が建っていた。
「…これって私の家?」
大通りに面した石造りの一軒家。
周りを見ると同じような石造りの家が並んでいる。
遠くには西洋の城らしき建物も見えた。
「…ファンタジー?」
まるでゲームの世界にいるみたいだった。

「あら?あなた、引っ越して来た方?」
突然、声を掛けられた。
「えっ?あ、はい…」
声を掛けてきたのは、金髪で碧眼の若い女性だった。
「変わった服ね、外国から来たの?」
「…え、えぇ」
(日本語?英会話出来ないのに会話してる…)
「私はナタリー・クレスター、隣に住んでるわ」
「あ、私はアヤコ・タキガワ…」
(えっ?勝手に口が…)
私は普通に北川綾子と言ったはずなのに…。
「アヤコね、何か分からない事があったら聞いてね」
ナタリーは手を振りながら自分の家に入って行った。
私も家に戻った。
「…普通のアパートよね」
中はやっぱりアパートの一室だった。


この不思議なアパートのおかげで、現実世界とファンタジー世界の二重生活が始まった。

「…とりあえず、買い物行う」


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