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千分の一話噺

第389章 花見弁当


街中はもう桜も散り始めているが、山の方はちょうど良い頃合いだ。
「次のお休みは、お弁当持ってお花見に行きましょうよ」
彼女が言う。
確かに花見には弁当が付き物だ。
美味い弁当なら尚更に良い。

「やっぱり、お弁当はお握りに唐揚げ?」
「それだけじゃちょっと物足りないだろ?」
「でも二人だし、そんなに作っても仕方ないよ」
「大丈夫だよ、俺が食うから…」
「楽しみだね」

休みの前日、明日の天気は晴れて暖かい予報だ。
俺は仕事が終わるとスーパーに立ち寄った。
自宅に戻ると、早速弁当作りに取りかかる。
ご飯を炊いて、唐揚げ揚げて、他のおかずも作って…。
弁当作りながら、夕食がわりにちょこちょこ摘まみ食い。
「うん、我ながら美味い!」
弁当箱に詰めて出来上がり。


翌日、予報通りの快晴な空。
弁当を広げると彼女の目が輝く。
「うわ~、豪華ね」
「お握りには焼いた塩サバをほぐして入れてある」
「唐揚げは骨付きなんだね」
「チューリップ唐揚げって呼ばれてる揚げ方だ
手羽の根元部分の肉を剥がして目繰り上げて丸めて揚げてるんだ
見た目がチューリップみたいだし、食べやすいだろ?」
「これはコロッケ?」
「春キャベツでおからを巻いて揚げた卯の花コロッケだ」
「なんでおからを卯の花って言うの?」
「卯の花に似てるからさ」
「卯の花ってあるんだ?」
「空木(うつぎ)って木の花だよ
旧暦の卯月に咲くから別名を卯の花、小さい白い花でおからも似てるから卯の花って呼ばれてる」
「へぇ~知らなかった」
「弁当の花見も良いけど、ちゃんと桜も見ようぜ」
俺達は、弁当を食べながら桜を見上げた。


end

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