• テキストサイズ

千分の一話噺

第386章 異動


4月1日、新年度の始まり。
異動により新しい職場で、気持ちも新たに仕事をするつもりでいた。

「あら?新木君もここなの?」
聞き覚えのある声に振り向くと…。
「うっ…」
何かに顔が埋まった。
「…相変わらず小さいわね」
少し後ずさると…。
「せ、世良先輩?」
ということは…。
「す、すいません!すいません!」
俺は真っ赤になって謝った。

世良先輩は大学の先輩でもあり、同じ会社に就職したが今まで違う職場で顔を会わせる事はなかった。
世良先輩の身長は180㎝、更に5㎝程度だがヒールを履いているので、150㎝の俺が並ぶと顔が先輩の胸に当たってしまう。
しかも何気に巨乳なんだ。

平謝りの俺に世良先輩は笑って答えた。
「良いわよ、新木君ならね…」
「…先輩?…どういう事っすか?」
「今日は、何の日でしょうか?」
「えっ?今日…って…あっ!エイプリルフールですね
そうか…そういう事か…」
俺はちょっと残念に思った。
密かに想っていたが、こんなチビな俺がモデルの様な世良先輩と釣り合うはずもない。

諦めかけた俺に世良先輩が…。
「でも、エイプリルフールなんて学生時代にしか通用しない遊びでしょ…
私達はもう社会人なのよ
自分の言葉には責任を持ちなさい」
「えっ?それって?」
俺は首を傾げた。
「もう、鈍いわね
さっき、新木君なら良いって言ったでしょ!
それともこんなデカ女じゃ不満かしら?」
世良先輩はわざと拗ねた様にみせた。

俺はチビな事を、世良先輩は長身な事をコンプレックスに感じていた。
学生時代からお互いに好意を感じていたが、お互いコンプレックスが邪魔をして告白まで出来なかった。
しかし、こんな再会から運命が変わるならエイプリルフールも悪くない。


end
/ 1580ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp