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千分の一話噺

第382章 ミニルム


20XX年、それは小さな新種動物『ミニルム』の発見から始まった。

見た目はマスコットやぬいぐるみの様にかわいらしく成長しても手のひらサイズ、飼育も手間が掛からず、繁殖も容易ですぐにペットとして売り出された。
ミニルムは瞬く間に世界中に広まり、日本では縁日の出店で売り出された。

「可愛い!」
「ママ!私もあれ欲しい!」
「いらっしゃい!
こいつはこれ以上大きくならないから飼いやすいよ!」

縁日といえば、昔はミドリガメや色付けされたヒヨコなんかが売られていたが、その代わりがミニルムになった。
確かに、小さいままで鳴き声も出さないが、寿命は二年程度と非常に短かった。

これが悲劇の始まりだった。

「…これはっ!…新種のウイルス!?」
医療関係者や研究者が騒然となった。
ミニルムが生きてるうちは発生しなかったが、死ぬと死体からあるウイルスが発生する。
その未知のウイルスは人に感染すると爆発的に増殖し死亡に至る。
世界中で爆発的に売れたミニルムは一斉に寿命を迎えた為、未知のウイルスも世界中で一斉に感染する事になった。

WHOはすぐにパンデミックを宣言し注意を促し、ミニルムはすぐに販売停止となったが、飼い主は殺すことも出来ず恐怖から捨てる人が急増した。
そのためミニルムが自然繁殖し感染が止まらなかった。
人類はこの未知のウイルスで絶滅するのかと思われた。
しかし、そんな危機的状況を一変したニュースがネットに流れた。

『特効薬はシュークリーム!』

初めは誰も信じなかったが、「治った!」「元気になった」と言う書き込みが後を絶たない。
専門家も「何故?」と首を傾げる事態だが、シュークリームがこのウイルスに効く事実にWHOは世界中に公式発表した。
しかも生きてるミニルムにシュークリームを食べさせれば、死んでもウイルスが発生しない事が分かった。

数年後、ミニルムは世界中で可愛がられている。


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