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千分の一話噺

第375章 冬の大三角


『ダウンジャケットを着込んで、コンビニでおでんを買って、公園で天体観測した』

これは僕のある日の日記だ。

天体観測と言っても単に夜空を見上げるだけ…。
冬の夜空は空気が澄み、星が良く見える。

「冬の大三角も綺麗に見える…」

冬の夜空のおおいぬ座α星シリウス、こいぬ座α星プロキオン、オリオン座α星ベテルギウスの3つの1等星で構成される三角形。

特に星座に詳しい訳ではないが、星を見上げるのが好きだ。
何も考えず、煌めく星を見上げながら少し冷めたコンビニおでんを食べる。
「暖冬とか言ってもやっぱり夜は寒いな…」
ダウンジャケットの下にセーターを着込んどいて良かった。

でも…。

隣にいるはずの彼女がいない。
彼女と言っても恋人ではない。
お互い星を眺めるのが好きと言うだけで意気投合した女性だ。

「来週、片思いの人に告白しようと思ってるの…」
先週、彼女が呟いていた。
好きな人がいると聞いていたので驚く事もなかった。
「上手くいく様に冬の大三角に願うか…」
彼女の為に祈った。


「ここに来ないって事は上手くいったのかな…」
僕は少し寂しさを感じたが、良かったと心から思った。


しかし、はっきり見えるはずの冬の大三角が滲んで見えた。



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