• テキストサイズ

千分の一話噺

第373章 月に降る雪


1969年7月16日、アメリカのケネディ宇宙センターを飛び立ったアポロ11号は、 同月21日に「静かの海」と呼ばれる月面の平地に着陸した。


2069年、アポロ月面着陸から100年後、人類は再び月面に降り立ち資源採掘基地を建設した。
月に埋蔵されている資源を目当てに世界中の企業が共同で開発する事になった。

しかし、月の環境下での作業は思うように進まず、共同企業は一社また一社と離れていった。
しかも、地質調査を行ったところ、稀少な資源はあるが予想を遥かに下回る量しかなかった。
更に共同企業は減り、基地は縮小され、人も減り、月面基地はゴーストタウンの様になっていった。

「ちっ、とんだ貧乏くじを引いちまったぜ」
月面支社へは栄転のはずだった。

最先端だと思った月面基地での仕事も、今ですっかり閑職となり、地球本社で問題を起こした社員が月面支社に飛ばされる始末だ。
「ようこそ月面支社へ…
って、あんた何したんだ?」
基地の施設は古くなり、あちこち直しながら細々と資源を採掘している。
俺の移動願いは何年も保留のまま…。
「まぁ住めば都って言うだろ?
青い地球が綺麗に見えるぜ」
さすがに俺は見飽きた。

普段の基地内生活はなんら問題はない。
が、しかし…。
突然響く警報に、その後の衝撃。
「またか…」
月には隕石が直接衝突する。
新人は慌てふためくが、それもすぐに慣れる。

隕石の衝突で巻き上がる粉塵がまるで雪の様に舞い落ちる。
「これが月の雪、ムーンスノーだ」
青い地球が白くぼやけた。


end
/ 1580ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp