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千分の一話噺

第372章 鬼ごっこ


「鬼さんこちら~♪
手の鳴る方~へ♪」

小さい頃、親にあやされた記憶…。
いつの頃からか記憶の奥に押し込め忘れてしまった。

家族といるより友達と遊んでいる方が増える。
反抗期になると逆らう事しかしなかった。

散々迷惑掛けて、それでも入学式に、卒業式に、成人式にとお祝いしてくれた。
それに応えられる事もなく時は流れる。

独立し仕事に明け暮れる。
彼女が出来て、そして結婚。
祝福され、やっと少しは親孝行になったのかと思った。

子供も出来て、親の自覚も芽生える。
こんな気持ちで俺を育ててくれたのかと…。

子供を連れて実家に帰ると笑顔で迎えてくれた。

孫を相手に懐かしい歌が…。
「鬼さんこちら~♪
手の鳴る方~へ♪」
遠い記憶の隅に残っていた気持ち。

「ありがとう」


end
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