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千分の一話噺

第367章 ハワイ


「凧揚げか?羽根突きか?
それが問題だ…」
「で、どっちにするの?」
彼は右手に凧、左手に羽子板を持って悩んでいる。

凧揚げは喧嘩凧、全員一斉に揚げて最後まで残った者の勝ち。
羽根突きはトーナメント戦、優勝するには五回勝たないといけない。

「そんな簡単に決められないだろ
羽根突きは経験値が少ないが凧揚げなら自信はある

しかし…

凧揚げは強力なライバルが多過ぎる…」

悩むのも当然と言えば当然かも知れない。

地元の凧揚げ大会と羽根突き大会が同時に開催されるからだ。
しかも、どちらの大会も令和初と言うことで優勝すると賞金10万円とハワイ旅行が貰える。
この豪華優勝賞品から、どちらも参加者が殺到していた。

「こんな豪勢な大会を同時にやるなんて…」
去年までは別々に行われていた大会で、彼はどちらの大会も前年王者であった。

「早くしないと受付しまっちゃうよ」
私が急かすと、彼は覚悟を決めたように受付へ向かった。


「どっちでも良いけどちゃんと勝ってね!
私、ハワイ行きたいから!」



end
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