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千分の一話噺

第366章 幼妻


「お年玉?
ガキじゃあるまいし、何言ってんだよ?」
何故か妻が我が儘を言い出した。
「だって私まだ未成年だもん
それに働いてないし…」
「それは…」
俺は言葉に詰まった。

妻と出会ったのは、彼女がまだ高校生、俺は彼女のバイト先の店長だった。
歳の差はあったが、カレンダーが令和に変わるって事もあり、彼女の卒業と同時に結婚した。



「本当に良いのか?
友達はみんな大学行ってるんだろ?」
「人は人、私は私よ
東大みたいな超一流大学ならまだしも、女の私がその辺の大学へ行った所で時間を無駄に過ごすだけ…
遊ぶ事が目的なら大学に行く必要はないし、私はそこまでして遊ぶ気にはなれないのよ
後悔、先に立たずになるかも知れないけど…」
「そんな言い方しなくても…」

彼女のこの大人びた性格は、周りに人を寄せ付けない。
付き合っている間もこんな物言いで、とても高校生とは思えなかった。

だが、結婚してみるとガラッと性格が変わった。
否、押さえ込んでいた物が溢れ出したと言った方が合ってるのかも知れない。

まだ他の人には大人びた性格が顔を出すが、俺には歳相応な反応をしてくれる。
それが愛おしくて堪らない。

「しょうがない…
少ないけど、お年玉だ」

甘やかし過ぎかも知れないな。



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