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千分の一話噺

第365章 名探偵の普通のお仕事


「はっくしょん!
ちっ、誰か噂してやがるのか…」
俺は煙草に火を付け、一服着ける。

仕事とは言え、新年早々浮気調査とは思わなかった。
この時期の張り込みは寒くてかなわない。

車内にいるが、エンジンを掛ける訳にもいかず、風邪引きそうな寒さの中、ターゲットが動くのを待つ。

「飯食っとくか…」

今日は遅くなるかも知れないと言ったら、オーナーが弁当を作ってくれた。



「おむすびで良かったら作ってやるよ」
「…どういう風の吹き回しっすか?」
「…鼠小僧との話は聞いたよ
見逃したんだって?」
「うっ…、実質的な被害は無かったし、先祖の形見とか言われたら…、寝起きが悪いからな」
「そうかい…あんたも意外と浪花節だね
まぁ、今日の仕事も頑張りな」



「…ったく、どっちが浪花節だよ」
新聞紙に包まったおにぎりを取り出し腹を満たした。
「…おっと、出て来たか」
ラブホから出て来た二人を望遠レンズで捉える。
決定的な証拠写真は撮れた。

「さて、帰って報告書作れば終わりだな」

真夜中とは思えない明るい繁華街へ消える二人をミラーで見ながらエンジンを掛ける。
「はっくしょん!
…風邪引いたかな?」
早く帰って一風呂浴びたいと、アクセルを踏む足に力が入った。


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