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千分の一話噺

第362章 元旦


2020年元旦。

朝、起きると餅を焼き始める。
焼ける間に、鍋に水、白出汁、醤油を入れ火にかける。
ほうれん草ともやしと竹輪を放り込んで一煮立ち。
丼にあけて、焼き上がった餅を入れて雑煮の出来上がりだ。
箸休めに伊達巻きと一緒に、少しは正月らしい朝食になる。

ゆっくりテレビを見ながら雑煮を食べる幸福は、日本人で良かったと思う一瞬でもある。


「さて、初詣に行きますか…」
朝食を終え片付けると初詣に出掛ける準備をする。
近くの小さい神社か?ちょっと歩くが大きい神社か?…どっちに行くか迷う。


外に出ると北風の冷たさが身に染みる。

『朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに
吉野の里に 降れる白雪』
吉野の里じゃないが、初雪でも降りそうな寒さだ。
こりゃあ、小さい神社けど近くで済ませて早く帰った方が正解かも知れないな。


パンパン!

(今年も無事に一年過ごせれば良いか…
頼むぜ、神様)
お参りを済ませると足早に家路に着いた。


アパートに帰ると部屋の中から声がした。
(えっ?泥棒?)
ポケットから鍵を取り出し、ドアをそっと開けた。

『どうも~!
コック&ヘッケラーで~す!』

テレビが点きっぱなしだった。


end
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