第360章 換気扇
これから大掃除…。
「はぁ~気が重い…」
掃除機や雑巾で出来る場所は良いが、油汚れな換気扇は触りたくもない。
でも、そのままにしとく訳にもいかないし…。
「はぁ~やるしかないか…」
私は腕まくりして、ゴムの手袋して、換気扇の掃除を始めた。
フィルター外して、ファン外して、カバー外して…。
フィルターがあるからファンはそんなに汚れてないけど、カバー周りは油でベタベタだ。
毎年、定期的に掃除しなきゃとは思うけど、なかなかやらないのよね。
最近の洗剤は吹き掛けてしばらく置いとくとかなり汚れが落ちるから楽だけど、しつこい汚れもあるから…。
「ふぅ~やっと終わったわ」
換気扇を元に戻すと、眩い光りが辺りを包んだ。
「えっ?何?」
すると、どこからか声が聞こえてきた。
『綺麗にしてくれて、ありがとう
御礼にあなたの願いを叶えて差し上げますよ』
甘く優しい声…。
もしかしたら換気扇の神様?
「…願い?
何でも良いんですか?」
「もちろん、世界一のお金持ちでも世界征服でも人類滅亡でも思いのままです」
世界一のお金持ちかぁ…。
って、その後の世界征服とか人類滅亡とか、随分と物騒な事言うのね。
「あのぉ…
確認ですが…、あなたは神様ですか?」
「私ですか?
私は、換気扇の悪魔ですよ
綺麗にしてくれたので、魂は頂きませんから安心して下さいね」
意外な答えだった。
「丁重に自体させて頂きます!」
きっぱりと断った。
end