第355章 ロマンチック
クリスマスイヴから雪が降るとホワイトクリスマス…、都会の恋人達にはロマンチックな一晩になるのだろう。
「ホワイトクリスマスねぇ…」
仕事の合間に窓の外を眺めた。
窓の外は一面の銀世界。
ただし一年中である。
「こんな時代でもロマンチックだって言う奴がいるのかね?」
西暦2351年、地球が氷河期となって100年以上経っていた。
一時期は地球も疲弊し温暖化で平均気温が上昇し、北極、南極の氷は全て溶けた。
それに因り、海面が上昇し人類が住める土地は減少した。
国土が減って危機感を感じた国々は再び戦争を起こす事になる。
戦火により人類は減少し、皮肉にも温暖化が収まり、温暖化を抑えようとした技術が逆に寒冷化を引き起こしてしまう。
戦争は終わり平和になったが、寒冷化は一気に地球を氷河期へと進ませてしまった。
「あら、ロマンチックじゃない…
はい、コーヒー」
ソフィアが答えた。
「そうか?
俺は晴れてくれた方が嬉しいけどな」
差し出されたコーヒーを受け取り答えた。
俺だけじゃない。
人類のほとんどがそう思っているだろう。
「だから彼女出来ないんじゃない?」
ソフィアはニヤリと笑った。
「やかましいわ!
お前に言われたかねぇよ
さっさと仕事しろ」
地球はこの氷河期で、疲弊した大地に再び英気を養う事になった。
end