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千分の一話噺

第354章 鍋


東京にも年に数回は雪が降る。
ある冬の日、彰と美沙子がデートをしてると雪がちらついてきた。

「あっ雪!
ねぇ、彰~粉雪よ!」
美沙子ははしゃいでいた。
「はぁ…
残念だが粉雪じゃねぇよ」
彰は首を横に振って、少し不機嫌に答えた。
「えっ…何で?何で?
粉みたいに細かい雪じゃない」
美沙子は彰の不機嫌はいつもの事と、そんなに気に止めてなかった。

「東京に降るのは細雪だ
本物の粉雪はもっと細かく、さらさらなんだよ
スキー場でパウダースノーっていうだろ?
北海道や日本海側の雪国の様に気温が低くないと降らないんだ」
彰は半分呆れながら説明した。
「へぇ~そうなんだ
でも、何でそんなこと知ってるの?」
美沙子は首を傾げる。
「何でもじゃねぇよ
常識だろ?そんなの…」
「う~ん…、彰が言うならそうなのかな?」
美沙子は微笑んで腕を組んだ。
「お前なぁ…
まあ、それが美沙子の良い所か…」
「…寒~い!
どこかで鍋食べよう、鍋!」
美沙子は彰の腕を引っ張って行く。
「鍋か…こう冷えると良いよな」
二人は街の雑踏に紛れて行った。


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