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千分の一話噺

第345章 歳の差夫婦⑱・同音異義


「ねぇカンロって何?」
買い物中に思い出した言葉を聞いてみた。
「カンロかい?
中国の伝説に、天子が仁政を施す時、天がそれに感じて甘い露を降らせるとあって…」
「…へ?」
旦那の説明に違和感を覚える。
多分私が聞きたい『寒露』とは違う『カンロ』の事みたい…。
「…それって甘露煮の甘露の事?
私が知りたいのは寒い露って書く寒露よ」
私の言葉に旦那は照れ笑いで頭を掻いた。
「そっちか…
そっちの寒露は、二十四節気の一つで文字通り冷たい露が降り始める時期の事だよ
まぁ、簡単に言うと秋になり始めの夜露の事だね」

いつも思うけど、物知りで尊敬するなぁ。
私なんかスマホで調べないと何にも分からないのに…。

「ねぇ、これ…変な画面になっちゃった
どう直すの?」
「もう…貸して」
前言撤回。
スマホに関しては全然覚えないんだから…。

「あっ、今日のおつまみはサツマイモの甘露煮にしようか?」
「…だったら白ワインの方が良いかな」
ワインも旦那様に任せれば間違いない。

私達は買い物を済ませ店を出ると冷たい風に身を縮ませる。
「今夜は寒露かな?」
旦那が肩をすぼめる。


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