第341章 ビデオ観賞
『恐怖!テディベアの逆襲』
「何?このビデオ!?」
彼女はグラスにウイスキーを注ぎながら、呆れた顔で俺を見た。
「いや…ほら…あの…、テディベア好きだって言ってたから、テディベアの出て来るビデオを借りてきたんだよ」
今日は彼女とビデオ観賞する約束をしていた。
「バッカじゃないの!
何で可愛いテディベアが恐怖で逆襲なのよ
これ、明らかにB級ホラーでしょ!」
グラスに炭酸を注ぎながら、ちょっとキレかかっていた。
「ほら、可愛いのは当たり前だから、なんか面白そうなやつを探してたら見付けたんだ」
実は別に普通のビデオも借りてあるのだが、彼女の反応を見てみたかった。
「これを私に観ろって言うの!?」
搾っていたレモンがハンパなく潰れていく。
彼女は大の怖がり。
もちろんホラー映画なんか絶対に観ない。
「えっ…とぉ…
ほらB級ホラーってコメディーっぽかったりするし…」
「………良いわよ、観てあげるっ!
後で後悔しても知らないからっ!」
ツンデレな所がある彼女は、怖がる時がめっちゃ可愛い。
…でも、ちょっと酸っぱいハイボールを一口飲んで、ちょっと後悔している。
end