第337章 追跡
「ちっ、こりゃあ厄介だ…」
俺は爆走するバスの上でぼやいた。
『おい!ゲン!
何やってんだ!早くそのバス止めろっ!』
無線からリョウの怒鳴り声が聞こえる。
「分かってる!ちょっと待ってろ!」
俺はバスから振り落とされないようにしながら後ろに進む。
それは30分前の出来事。
俺とリョウはたまたま別の捜査で来ていた現場の近くで強盗事件に出くわした。
「俺は先回りする!
リョウは奴を追え!」
「逃がすんじゃねぇぞ!」
俺とリョウは無線で連絡しながら犯人を追い込んでいく。
しかし、犯人はバス停で停車していた回送バスに乗り込んだ。
『あぁっ!ゲン!
奴が回送バスを乗っ取った!』
「何だと!どっちに向かった!」
リョウからの情報で先回りし、歩道橋からバスに飛び降りた。
「こりゃあ、まるでだんじりだな…
リョウ!今どこにいる!?」
『後ろ見てみな』
バスの後ろからバイクが近づく。
「そのバイク、どうしたんだ?」
『善良な市民が貸してくれたんだよ』
どう借りたのかは想像したくないな。
「まぁ良い…
リアガラスを撃ち破れ!乗り込む!」
『あいよ!』
リョウは銃を抜くとバスのリアガラスに数発撃ち込んだ。
俺は縁に手を掛け、割れたリアガラスから車内に滑り込んだ。
「大人しく縛に付きな!」
end