第333章 おばあちゃんはプロ選手
『最年長プロテニスプレイヤー清水京子、遂に引退か!?』
大々的にスポーツニュースに見出しが踊る。
しかし、当の本人はどこ吹く風だった。
「引退?なにバカなこと言ってんのよ!
私はまだ44だよ、これからこれから!」
「はぁ…、お母さん、今日で45よ…」
京子はバースデーケーキを豪快に頬張って笑った。
世界ランキングは53位、今年も四大大会での最年長出場記録を更新している。
「お母さん、そろそろ本当に辞めたら?」
娘の香織も呆れるくらいだ。
香織も16歳でプロテニスプレイヤーになった。
母親とも戦い、親子対決は大いに話題となった。
しかし、香織は22歳で結婚し引退した。
「お母さん、もうすぐ、おばあちゃんになるのよ
分かってる?」
「じゃあ、生まれてくる孫とも試合しないとね」
「頬っぺたに生クリーム付けて何言ってんのよ」
「後15年もすれば、孫とも試合出来るだろ?」
「お母さん、その時60よ
プロでやっる訳ないでしょ」
香織は大笑いした。
しかし、香織は京子だったらやりかねないと思っていた。
(この人には15年なんてあっと言う間なのかもね)
いまだにバースデーケーキを丸々一人で平らげるくらいのパワフルな人だ。
end