第332章 ひと夏の…
夏の海、それはアバンチュールを求める魑魅魍魎の巣窟と化す。
そんな戦場の様なビーチに一人の女子高生が舞い降りた。
彼女は、凛とした佇まいの中に幼さが垣間見える絶世の美少女、しかも八頭身のナイスバディの持ち主。
加えて、頭脳明晰で世界にその名が轟く大企業の社長令嬢という完全無欠なスーパー女子高生だが、かなりの世間知らず。
リムジンから降り立った彼女が一言…。
「暑いですわね…」
刹那、お付きの使用人が特大パラソルを掲げ、業務用冷風機を持ち出した。
「快適ですわ」
もう、ビーチは騒然である。
我先にと、お嬢様に群がる魑魅魍魎共は、この猛暑の中でも黒服の私設ガードマンに蹴散らされ排除された。
「あの人達はもうお帰りなの?」
ビーチに残ったのは家族連れや女子グループで、芋洗い状態だったビーチはすっきりとした。
「せっかくですから、海で泳ぎたいですわ」
更衣室には女性ガードマンが付き添い、着替えている間に海の中をダイバーチームが徹底的に調べる、正に鉄壁のガードだった。
そんなお嬢様がシーズンオフの海にまた現れた。
もちろん魑魅魍魎共はいないし、サーファーが数人いるくらいだ。
「秋の海って人が少ないのですね
…秋の落ち着い海も良いですが、やっぱり海は賑やかな夏の方が良いですね」
周りの苦労を知らないお嬢様なのであった。
end