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千分の一話噺

第329章 左利きのオクターブ


「知ってるか?ネットで話題のバイオリン弾きをっ!」
友人が声を弾ませる。

ネットにはあまり興味がない俺には何の事かさっぱりだった。
「相変わらずのネット嫌いか…
そんなんじゃ世間の話題に付いていけないぜ」
友人は呆れて首を振る。
「良いんだよ…、俺にはネットに振り回されてるお前の方が心配だ」
「そうか?今は俺みたいなのが普通だぜ」
確かにその通りだ。
世間的には俺の方が心配される存在になっている。

「…だったら、そのバイオリン弾きっての見せてくれ」
友人はスマホで動画を見せてくれた。
「な…、なんだこりゃあ!」
そこに映っていたのは、タコだった。
「タコ?タコがバイオリン弾いてるのか?」
「どうだ、面白いだろ!」
友人は自分の事の様に胸を張った。
「これのどこが面白いんだよ
どうせCGだろ?」
「これは本当に弾いてるらしいぜ
このタコ、『左利きのオクターブ』って言う名前だとか…」
もう言ってる事がめちゃくちゃだ。
「お前なぁ…
タコの足のどれが左だっていうんだ!」
「インパクトある名前付けるのもネットで話題になる一手だよ」
その感覚に俺は呆れて何も言えなかった。
こんな感覚になるなら俺はやっぱりネット嫌いで構わない。


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