第326章 名探偵とファラオの呪い
「はぁ…暇だ…」
ここ数週間、仕事の依頼は無し。
佳奈ちゃんやおばちゃん(オーナー)は、相変わらず出入りしてるが…。
「探偵さん、これ知ってる?」
佳奈ちゃんが何かの雑誌を持ってきた。
「何々、…このペリドット、『ファラオの涙』は古代エジプト王朝では国家の象徴"太陽神"に見立て、崇めていたと伝えられている
がしかし、この宝石を手に入れた者はファラオの呪いで非業の死を遂げている…
まぁ、よくある宝石にまつわる伝説話しだな」
俺は雑誌を佳奈ちゃんに返した。
「来週この宝石が日本に来るんだって♪」
佳奈ちゃんのテンションが危険な方へ向かっていた。
(まずい…逃げられない)
「一緒に見に行こうよ」
「(やっぱりか…)…いや、俺は仕事が…」
「無いよな、名探偵
家賃一割分で佳奈ちゃんの護衛だよ」
(このババァやっぱり来やがった)
俺に有無を言わせず、佳奈ちゃんを連れて行く事になった。
翌週、エジプト展を開催している博物館に佳奈ちゃんとおばちゃんとやってきた。
「オーナーも一緒なら俺はいらないでしょ?」
「良いんだよ
こういうのはボケ防止になるんだから…」
俺は苦笑いするしかない。
佳奈ちゃんはともかく、おばちゃんの面倒までみなきゃいけない。
俺にはこれこそが『ファラオの呪い』だな。
end