第323章 頑張れ!ジェームズ君
イギリスから日本文化を勉強しにきた留学生ジェームズ君。
来日してまだ日は浅いが、日本語は日常会話が出来る。
しかし、日本文化特有の言葉には苦労しっぱなしだ。
一緒に旅行した時の事だ。
「これは、umbrellaですかぁ?」
旅館に番傘が置いてあった。
「それは番傘だよ
傘には違いないけど、和紙に蝋を塗って出来てるんだ」
「ワシ?ロウ?
ワシはeagleですかぁ?」
「違う違う
和紙はJapanesePaper、蝋は…あれだ…ほら…Waxだ」
「これ、紙ですか!?
great!日本の技術力は素晴らしいで~す」
ジェームズは妙に納得していた。
「その番傘、日傘代わりに使って下さいね」
旅館の人に言われ、せっかくなので借りて町に出た。
昔の町並みが残る歴史深い町にジェームズは大喜びだ。
「beautiful!wonderful!」
この言葉を何回聞いたか?
「ジェームズ、そろそろ戻るぞ
なんか雨降りそうだ」
雲行きが怪しくなり、遠くに雷鳴が聞こえる。
「rain?
バンガサあるから大丈夫ね」
「ゲリラ豪雨じゃ番傘なんて一たまりもない」
「guerrillaゴウウ?
日本で市街戦ですかぁ?」
「ゲリラ豪雨って言うのは…、う~ん…、スコールみたいなもんだ」
「日本にsquall?」
「スコールって例えが正しいか?は分からないけど、最近は異常気象で多いんだ」
戻る途中にはバラバラと大粒な雨が降り出し、旅館に戻った時には滝の様な雨となった。
「正にguerrillaで~す
カンパツパツでしたぁ」
「カンパツパツ?…それ間一髪じゃね?」
「Oh~日本語難しいねぇ」
まだまだ、勉強中なジェームズ君でした。
end