第322章 歳の差夫婦⑯・ギャップ
「こ~れ~も愛♪
あれ~も愛♪
たぶん愛♪きっと愛♪」
ドライブ中、懐かしい曲がラジオから流れてきた。
松坂慶子が歌った『愛の水中花』だ。
「子供の頃、この歌聞いた時は衝撃的だったなぁ」
運転中の旦那がボソッと呟いた。
「で、何が衝撃的だったの?」
「松坂慶子がスッゴく綺麗で色っぽかったんだよね」
確かこの曲って私が生まれる前よね。
「何それ?要はマセガキだったって事?」
「そうだね
10歳くらいだったから、マセてたのかもね」
この辺が歳の差婚のギャップなのよね。
私は松坂慶子って言ったら、女優としてしか見たことがない。
歌ってるのは昔の懐かしい映像くらいだから、ピンとこないのよね。
「まさかの初恋?」
私はニヤニヤとしながら聞いてみた。
「まさか…、ちゃんと好きな子はいたよ」
「えっ!そうなの!?」
意外な答えにちょっとビックリした。
そういう事には疎い人だと思ってた。
「まぁ私が生まれる前の事だから、ワイン一本で許してあげるわ♪」
「…何でそうなるかなぁ
君にだって初恋はあっただろ?」
「うっ…それは…」
それを言われと何も言えない。
「これから行く長野にもワイナリーはあるからね
後で寄ろうか…」
さすが旦那様、私のツボはよく分かっていらっしゃる。
end