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千分の一話噺

第316章 ケーキ屋


そこは絶世の美人が切り盛りする小さなケーキ屋だった。
しかし、普通のケーキ屋とは一味も二味も違う世にも不思議なケーキ屋なのだ。

CakeShop“月下美人”

開店は午後9時から午前5時までと、とてもケーキ屋とは思えない営業時間。
「いらっしゃいませぇ」
オーナーの艶やかな声と白いドレスを纏ったその妖艶さは正に月下美人そのもの。
訪れた男性客は間違いなく虜になる。

夜中に行列が出来るケーキ屋なんて他にはないだろう。
しかも並んでいるほとんが仕事帰りの男性客で、オーナーの進めるケーキを大量に購入し満足げな顔をして帰っていく。

もちろん話題となり取材なども来るが…。
「ごめんなさぁい
そういうの、趣味じゃないのよねぇ」
オーナーは気怠い声でそう断り続けている。

店内の撮影はおろか、スマホを見る事さえ禁じている。
常連客は店内でスマホが鳴っても取り出す事さえしない。
スマホを手にした客がいれば取り囲んで説教する始末だ。
「皆さぁん、喧嘩は、ダ・メ・よ」
オーナーのこの言葉を聞きたくてわざとスマホを出す奴までいる。

肝心のケーキは?と言うと絶品の一言。
家に持ち帰ったお父さん達は、家族から大絶賛を浴び父親の威厳を取り戻した。

そして、お父さん達は今夜もCakeShop“月下美人”に通うのであった。



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