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千分の一話噺

第313章 ミューの日常⑧・情熱


ご主人様が仕事へ出掛けると、縄張りを一回りする事にしている。
もちろん冬と雨が降ってなければ…、だけど。

そろそろ梅雨になりそうだから、今日は念入りに回ろうかな。
「よう、今日は見回りか?」
「クロ、そろそろ梅雨だろ?お前もちゃんと見回っとけよ」
夜はご主人様と一緒にいるから夜の集会には出ないが、こうやって行き会う猫達と情報交換している。
「そういえば、タローのとこの庭に綺麗な花が咲いてたぜ
お前のご主人様にどうだ?」
「そっかぁ
帰りにでも寄ってみるよ」
次はシャルロットの家だな。

彼女は手入れの行き届いた庭で寛いでいる。
「あらミュー、ご機嫌よう」
物陰から伺っている俺を見付けた。
「シャルロットは、相変わらず品が良いな
子供達は元気かい?」
「えぇ、ご主人様がよくしてくれてますからね
でも、貴方は見付かったら追い出されるわよ」
おフランスの血統書付きのシャルロットに近づくのは命懸けだ。

その後も何カ所か知り合いの家を周った。
「おっと、最後はタローのとこに寄らないとな」
タローの家の庭には見事に鮮やかな色の花が咲き誇っていた。
「ミュー、来たのか!
どれでも持っていって良いけど、棘があるから気をつけろよ」
お言葉に甘えて、赤いのを一輪頂いた。

花をくわえて家に戻るともうご主人様が帰っていた。
「ミュー、そのお花どうしたの!?」
ご主人様はちょっと驚いていた。
くわえていた赤い花を手に取った。
「情熱のブーゲンビリアね
ミューってクールなのかと思ってたわ、ありがとう♪」
「ニャ~」

ご主人様、嬉しそうで良かったニャ~♪



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