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千分の一話噺

第302章 ラムネ


我が家の新しい家族となったのは、今では珍しいスピッツの子犬だ。
友人が知り合いから子犬貰ってくれないかと持ち掛けられ、俺の所にやって来たワンコだ。

光りの加減で青白く見えるからラムネと名付けた。

特技は気にいった人の足元にジャレつく。
俺の靴下を何足ダメにしてくれた事か…。
気にいらない人にはスピッツらしく吠えまくる。
しかもラムネが気にいる人は極端に少ない。
いわば、気難しい奴なのだ。

「あっ!こらっジャレるな」
遅かった。
彼女のストッキングは無残な事に…。
「ゴメンなさい
弁償するよ」
「私もワンちゃん好きだし、弁償なんて良いわよ
それより、これ脱がしてくれる?」
彼女は小悪魔の様な笑顔でウインクした。
俺が困った顔をすると…。
「うふふ…冗談よ」
これが俺と彼女の出会いだった。

俺よりちょっと年上で、綺麗な黒髪と透き通るような白い肌のコントラストがその美しさを際立たす。
こんな妖艶な美女がなんで俺みたいな冴えない男と付き合ってくれてるのか不思議でならない。

気難しいラムネが彼女には懐いている。
彼女は彼女で何故か毎回ストッキングを履いて来る。
結果、毎回ストッキングはダメになり、いつもの台詞が俺に投げ掛けられる。
「これ、脱がしてくれる?」



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