第298章 誕生花
俺が部屋へ上がると見慣れない花の鉢植えが置いてあった。
「この花は?」
「セントポーリア、5月の誕生花よ」
花の名前なんて覚えられないが…。
「スミレみたいだな」
「うん、スミレに似てるからアフリカスミレって言われるけど、品種は違うのよ
今月誕生日だからって、友達から貰ったの」
彼女はそう言いながら珈琲を入れ、テーブルに置いた。
「ふーん、そうなんだ」
彼は生返事で返してきた。
この人が花の事なんかに関心があるとは思えないから…。
「じゃあ、これは俺からのプレゼントな」
「…これ?」
彼はピッツアの箱をテーブルに置いた。
「ピッツア・マルゲリータ」
「…え?ピッツア?何で?」
私はこれがプレゼントなの?と首を傾げた。
「マルゲリータって、マーガレットのイタリア語なんだよ
マーガレットも5月の誕生花だろ」
まさか彼が誕生花を調べてたなんて…。
「…それが言いたくてピッツア買ってきたのね」
「ばれた?」
彼は苦笑いしながら、ポケットから小さな箱を取り出した。
「ほんとはこっちだ」
箱を開けるとシルバーに輝く…。
end