第297章 予告状
さて、準備万端だ。
まずは名探偵の所に行きますか…。
『名探偵殿
週末、特別展示される“写楽”を頂きに参上致します。
是非、平成最後の勝負をしましょう。
ラットキッド 5世』
予告状を彼の事務所に投げ入れた。
後は警察と美術館にも配らないと…。
「待てっ!鼠っ!」
「…さすが名探偵、私の気配に気付きましたか?」
「まだ弁当の恨み晴らしてねぇんだ
簡単に逃がすかよ!」
「ふふっ、あのお弁当は最高でしたよ
貴方との対決は週末の楽しみにしておきます
私はまだ他に回る所があるので失礼しますよ」
閃光弾を使って目を眩ませてと…。
その刹那、私の左手に手錠が掛けられた。
「おっと、簡単には逃がさねぇって言ったよな
毎回、同じ手は食わねぇよ」
名探偵は閃光弾を予測しサングラスを掛けたようだ。
「やりますね
それでこそ我がライバル」
「勝手に決め付けてんじゃねぇよ!
今までの借り、熨斗(のし)付けて返してやるぜ!」
「恐縮ですが、まだ捕まる訳にはいかないんですよ」
この程度の手錠なら簡単に外してと…。
「それでは、ご機嫌よう」
「あっ、こら!てめぇ!」
「相変わらずツメが甘いですよ」
名探偵の手錠は近くにあった手摺りに掛けておいた。
これで追っては来れないだろう。
ちょっと予定外の事ではあったが、名探偵対策は考え直した方が良さそうだ。
ふふっ、本当に対決が楽しみになった。
end