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千分の一話噺

第295章 一人前


「早く起きなさい!
入社式、遅れるわよ!」
朝から母さんにたたき起こされた。
「今日から社会人だって言うのに、もっとしっかりせねば…」
慌てて起きてキッチンに行く。
「ちょっと真紀!
そんな恰好で行く気なの!?」
母さんが呆れた顔をしている。
「真紀は、幾つになっても慌てん坊だな」
父さんは新聞からちらっと私を見て苦笑いしている。
「えっ?………あっ!」
まだパジャマのままだった。
すぐに部屋に戻って着替える。
「早く食べなさい
入社式に遅刻なんて前代未聞よ」
確かに入社式に遅刻なんて、社会人として目も当てられない。
それだけは何としても避けなければ…。
トーストを頬張って、スープで流し込む。
「富田真紀、入社式に行ってきます!」
一応気合いを込めてから家を出た。

駅まで自転車を飛ばし、電車に間に合った。
通学でもお世話になった電車だが、これからも毎日乗る事になる。

最寄り駅からは歩いて10分程度。
何とか間に合いそうだ。
『真紀、おはよう
今日から社会人よね』
スマホにラインが入った。
『おはよう、麻衣子
これから入社式』
『イケメンがいたら合コンよろしく』
麻衣子らしい答えが返ってきた。

学歴より経験が必要な仕事だから、私は大学より仕事を選んだ。
一人前になるには最低でも10年以上掛かると云われている。
さて、『若い時の苦労は買ってでもしろ』と言うし、苦労しても給料貰えるんだから最速で一人前になってやる!



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