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千分の一話噺

第293章 初日


「早く起きなさい!
入学式、遅れるわよ!」
朝から母さんにたたき起こされた。
「今日から花の高校生だって言うのに、しっかりせねば…」
慌てて起きてキッチンに行く。
「ちょっと真紀!
そんな恰好で行く気なの!?」
母さんが呆れた顔をしている。
「真紀は、幾つになっても慌てん坊だな」
父さんは新聞からちらっと私を見て苦笑いしている。
「えっ?………きゃあぁぁっ!!!」
慌て過ぎてスカート履くの忘れてた。
すぐに部屋に戻ってスカートを履いた。
「早く食べなさい
入学式に遅刻なんて前代未聞よ」
確かに入学式に遅刻なんて超目立って、これからの学生生活に支障を来たしそうだ。
それだけは何としても避けなければ…。

トーストを頬張って、スープで流し込む。
「富田真紀、入学式に行ってきます!」
一応気合いを込めてから家を出た。

駅まで自転車を飛ばし、電車に間に合った。
これから三年間、お世話になる電車だ。
ラッシュ時間だから混んでるのは仕方ないわね。
最寄り駅からはバスか?歩きか?
今日は時間がないからバスを使うけど、歩いてもいい距離だから運動がてら歩くのも悪くないわ。

「真紀、おはよう♪」
バス停で同じ中学からの友達に会った。
「おはよう、麻衣子
今日からまたよろしくね」
「同じクラスになれれば良いよね
後、イケメンがいればもっと良い♪」
麻衣子らしい答えが返ってきた。

さて、夢と現実と期待と不安の高校生活が始まる。



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