第281章 憂鬱
明日から新学期…。
「はぁ…憂鬱…」
春休みも終わり、新たな学年となり、新学期を迎えるのだが、私は憂鬱でしかない。
別にイジメがある訳ではない。
成績もトップクラスではないが上の方にいる。
部活だって楽しくやっている。
学校生活に何の問題もないはずなのに、学校に行きたくない。
一番の原因は、通学に使っている電車にいた。
もちろん、痴漢やストーカーの様な危ない奴がいる訳でもない。
そこにいるのは…。
「よっ、ハルカ
また会ったな」
そう、原因はこいつ…。
幼なじみの和人。
高校は違うけど、同じ方向の電車だから駅のホームで私を待っている。
頭が良くて、サッカー部のキャプテンで、爽やかなイケメンと言う文句の付け所がない男だ。
「今度の試合、見に来いよ
ハルカは俺の勝利の女神だからな」
そう言って爽やかな笑顔を振り撒く。
実は私はこの男が苦手なのだ。
何でもそつなく熟し、自信に満ち溢れ、誰にでも好かれる性格まで持っている。
この完璧過ぎる男がとにかく苦手で仕方がない。
しかもこいつは言い寄る女を全て振り、「私」一筋と宣っている。
羨ましがる友達もいるが、私にしてみれば迷惑千万なのだ。
「どこが嫌なの?」
それが分かればもっと楽に接する事が出来るのだろう。
長期の休み中なら会うこともないのに新学期が始まれば毎日のように顔を会わさなければならない。
「はぁ…憂鬱…」
早く夏休みになってほしい。
end