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千分の一話噺

第278章 良き日


彼からミモザの花束を差し出された。
「えっ?何?」
今日は別に誕生日でも、二人の記念日とかでもない。
「ミモザの日?そんな日あったんだ?」

3月8日『ミモザの日』はイタリア発祥で男性が女性に日頃の感謝の気持ちを込めてミモザの花をプレゼントする日だと言う。


でも、それだけではなかった。
「えっ!これって…」
一緒に指輪も…。
その場で泣き崩れてしまった私。
おろおろとしている彼。
風に揺れるミモザの花。


彼女の答えは…。
さすがに断られるはずはないと思っていたが、泣かれるとは思わなかった。
「ありがとうな
…そんなに泣くなよ」
彼女が泣き止むまでしばらくベンチに座っていた。
「…雨か?」
彼女は泣き止んだが、今度は空が泣きはじめた。

春の嵐か?遠くに雷鳴が響く。
「お前が泣くから空がもらい泣き始めたぞ」
すぐに近くの店に飛び込んだ。
こんな日に雷雨なんて、二人のこれからは前途多難と言う事なのだろうか?
しかし、初雷は虫出しの雷とも呼ばれ、冬が終わり春が訪れた事を虫達に告げると云われる。
二人に春が来たと思えば縁起が良いのだろう。



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