• テキストサイズ

千分の一話噺

第261章 チャンピオン


遥か昔に開催されていた水上飛行機(飛行艇)によるスピードレース『シュナイダー・カップ』、これが装いも新たに開催されたのが『ネオ・シュナイダー・カップ』で、今や世界的な人気競技となった。

全チーム同一エンジンを使用するが、機体設計は自由、そのため個性的な機体が多い。



『飛龍』

俺は尾翼にマジックでデカデカと書いた。
「何て書いたんだ?」
メカニックのボブが首を傾げた。
「漢字で“ヒリュウ”、空飛ぶドラゴンって意味だ」
「そういやぁ、カイトの祖母さんって日本人だったな」
「あぁ、だからコイツを日本のスクーデリア(工房)に頼んだんだ」
純白の機体に真っ赤な翼、日の丸をイメージしたレシプロ機。
俺はこのレースに参加して三年目、優勝を狙える実力は付いた。
この新しい機体で今年こそ優勝するつもりでいる。


「よう、カイト
それが新型機か?なかなか良さそうじゃないか」
声を掛けてきたのは去年のチャンピオンだ。
「ジャック、今年はお前の好きにはさせないぜ」
「まあ精々頑張ばりな
今年も俺の一人勝ちさ」
そう嘯(うそぶ)いて去っていった。

確かにジャックのチームは豊富な資金力で高性能な機体を有している。
だがレースは機体の性能だけで決まるもんじゃない。
「俺達の新しい力、見せてやろうぜ」
ボブが背中を叩いた。
「当たり前だ
俺は…、いや、俺達はチャンピオンになるんだからな!」



end
/ 1580ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp