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千分の一話噺

第259章 バースデイイブ


「来週はクリスマスか…」
街は華やかなイルミネーションや軽快なクリスマスソングが流れる。
正直ガキの頃ならいざ知らず、キリストの誕生日だか何だか知らないがキリスト教徒でもない俺には何の関係もない行事だ。


「明日のクリスマスイブはどうするの?」
「はぁ?俺には関係ないっすよ」
先輩に聞かれちょっとキレかかっていた。
日本人はなんでこうもお祭り騒ぎをしたがるんだろうか。
「クリスマスイブはバースデイイブなのよ」
「…だからキリスト教徒じゃないのにキリストの誕生日なんて関係ないでしょ!」
何故か声を荒げてしまった。
あっ、と思ったが先輩は気にすることなくニコニコしていた。
「そうね、私もクリスマスに興味ないわよ
だいたいキリストの誕生日なんて分かってないんだから…」
「…えっ?そうなんすか?」
先輩の言葉に俺はちょっとびっくりした。
「?…でもさっきバースデイイブって…」
俺は首を傾げながら先輩に聞いた。
「そうよ、25日は、わ・た・しの誕生日だからね」
「えぇ~!聞いてないっす!」
「言ってないもん
…と言う訳で、明日の夜は私に付き合いなさい」
「えっ?…えぇ~!」
先輩の突然の誘いに大声を上げてしまった。
「何?嫌なの?」
先輩の視線が氷点下の様に冷たく変わった。
「い、嫌な訳ないっす!
…俺で良ければ」
俺は慌てて頭を下げた。
「何で頭下げてるのよ?
まるで私が命令してるみたいじゃない…」
「…命令に聞こえたっす」
お互い笑いあったが、その時の先輩は最高の笑顔だった。


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