第255章 トリコロール
「トリコロールってフランス語で三色なんだってよ」
「何だ?いきなり…
トリが3で、コロールが色って意味だろ
フランス国旗をトリコロールって言うのはそう言うことさ
くだらねぇ事言ってないで、さっさと行くぞ」
俺はヴァンにそう言うと愛車に乗り込んだ。
「リック、くだらねぇ~って言うなよ
わざわざフランスまで来たんだぜ」
助手席に座ったヴァンがぼやく。
相棒のヴァンは観光気分だが、俺達がフランスに乗り込んだのは、ある犯罪組織を壊滅させるための特務捜査だ。
奴らのアジトがフランスにあると情報を得て来た。
…と、ここまでは良かったのだが情報収集中に敵の罠に掛かりまんまと拉致されてしまった。
俺達は何処かの倉庫らしい所にいた。手足は縛られている。
そこに書類で見たことがある組織の幹部が入ってきた。
「お前ら刑事(デカ)だろ?良いもんやるよ
死ぬまでのカウントダウンを楽しみな」
奴は時限爆弾らしき物を俺達に見えるように置いて笑いながら出て行った。
「リック!何とかしろよ!」
「うるせぇ!今、外してるとこだ!」
俺は手首の関節を外してロープを外し、すぐにヴァンのロープも外し、外に出た。
「!…駅!?………ヴァン!すぐに爆弾解除しろ!」
俺達が閉じ込められていたのは駅構内の用具室だった。
俺達はすぐに爆弾の解体に取り掛かった。
ヴァンは時限タイマーのカバーを外し、回路を調べる。
「ダミー配線を除くと、この三本のどれかだな
青、白、赤…、リックならどれ切る?」
「俺に選べってか?」
「後30秒もあるから、ゆっくり選べるよ」
ヴァンは呑気に言うが後30秒しかない。
「…白、いや赤か?…青か?
くそっ!」
「後15秒…」
時間はもうない。
「三色か………ヴァン!赤だ!」
一か八かだった。
「…ふぅ…何で赤にしたの?」
ヴァンが首を傾げた。
「トリコロールだよ
確か赤は博愛を表す色だったと思ってね」
俺は苦笑いで答えるのがやっとだった。
end