第250章 名探偵、謎を解く
『11月11日、時計の針が11時を指すとき、フランス美術展で名画【セーヌの絆】は消えてなくなります
楽しみにしていてくれたまえ
ラットキッド5世』
久しぶりの予告状、鼠が日本に戻ってきた様だ。
「まぁ、この街の事じゃないから俺には関係ないな…」
予告状を机の上に放り投げた。
「さて、仕事仕事
今日中にフランソワ(犬)を見付けねぇと…」
数日後、佳奈ちゃん(+コロ)とおばちゃん(オーナー)が一緒にやって来た。
「探偵さん、鼠さんがフランス美術展で絵を盗んだんだって!」
佳奈ちゃんは何か楽しそうだ。
「あんたは何やってんだい?」
おばちゃんは少し呆れている。
「俺はちゃんとフランソワを見付けたさ」
俺はスマホで撮った画像を見せた。
「ワン!ワン!」
茶色い毛並みのトイプードルと一緒に写した証拠写真にコロは喜んでいる。
「なんだい、その締まりのない顔は!?
あんたは鼠にやられっぱなしなんだろ?捕まえようとは思わないのかい!?」
おばちゃんはちょっと苛立って語気を強めた。
「予告状なら着てたけど、俺はこの街以外で仕事する気はないから…
それに、鼠を捕まえるのは警察の仕事だ」
おばちゃんは不満げな顔をしていたが、そこに佳奈ちゃんがお茶を入れてきた。
「おばさんも探偵さんも、お茶にしましょ」
(佳奈ちゃんナイス!)
しかし、すっかり佳奈ちゃんもここに馴染んでる。
「ねぇ探偵さん、鼠さんはどうやって絵を盗ったの?
絵の周りにはお巡りさんがいっぱいいたんでしょ?」
佳奈ちゃんが首を傾げた。
「映像でしか見てないからなんとも言えないけど、館内の照明が落ちた瞬間では、すり替える時間はなかった…
あれは額に絵を隠す仕掛けをしてあったんだろう
元々暗い館内だから、ぱっと見絵が消えた様に見える
鼠はあの額をすぐに片付けていた作業員だよ」
「凄~い!さすが名探偵♪」
「ワン!ワン!」
佳奈ちゃんは手を叩いて喜んでいる。
コロもついでに喜んでる様だ。
もしまた鼠がこの街で盗みをするなら、次は借りを返してやる。
end