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千分の一話噺

第244章 願い


(えっ?)
目覚めた俺は違和感を感じた。
(ここ外?何で?)
確か、昨日は久しぶりに呑んだけど、ちゃんと家に帰ってベッドで寝たはずだ。
しかし目の前には、行き交う人達…。
(マジ?酔っ払って道端で寝てたのか?)
俺はすぐに起き上がった。

が、しかし目線の高さが全然低い。
(あれ?まだ酔ってるのか?)
アタフタしている時に声を掛けられた。
「あなた、何取り乱しているのかしら?」
振り向いてみると、一匹の黒猫しかいなかった。
「猫?…まさか…な」
しかし他には人がいない。
「何がまさか?なのかしら?」
「ねっ!…猫が…喋ったぁ!?」
「何を驚いているのですか?」
その黒猫は小首を傾げた。
「何でって、猫が喋っべるなんてあるわけないだろ!」
「…あなたも猫よね?」
「はあ?ふざけるな!
俺は人間だ!」
「…はぁ…あなた、飼い猫ね
いるのよねぇ、いつも人間と一緒だから自分も人間だと思い込んでる子…」
黒猫は溜め息と哀れみの視線を俺に送った。
「じゃあ、あそこを見てご覧なさい」
黒猫は首を横に振った。
その先には店のショーウインドーがあった。
「…なっ…嘘っ?」
ガラスに映っていたのは、黒猫とその隣には虎柄の猫だ。
俺はショーウインドーと黒猫を何度も見返したが、俺の姿はなかった。
「どう?猫でしょ」
黒猫は勝ち誇った様に尻尾を立てた。
「だっ………」
あまりの衝撃で言葉にならない。

昨日の事はちゃんと覚える。
会社で残業して、同僚に誘われちょっと呑んでから、家に帰って風呂入ってベッドで寝た。
別に特別な事はしてない。

否、待てよ…夢を見た。

『願いがあるなら、神様にお伝えしますよ』
そう、そいつは天使だと言っていた。



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