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千分の一話噺

第238章 実りの秋


「恵みの雨…
…秋雨様々だな」
あれだけ猛暑だった日本列島を秋雨前線が一気に冷やした。
「今年は秋らしい秋になるのかな?」
「それはどうかな?
まだ暑い日もあるさ…」

季節の変わり目、三寒四温。
『暑さ寒さも彼岸まで』の言葉通り、彼岸前後は気温の上下が激しい。

しかし村の景色は、稲刈りも終わり、秋桜の見頃が過ぎれば、山では紅葉の声も聞こえだす。
季節は確実に秋へと移行していた。

「秋ってちょっと物悲しいのよね」
「…意外とセンチメンタルなんだな」
「乙女心の分からない朴念仁には理解出来ないわよね」
「…秋は収穫の時期だ
農家は喜ぶのが当たり前だ」

まだ付き合いだしてそんなに時間は経ってない。
…けど、何で私はこんな田舎の農家の跡取り息子を好きになったんだろ?
初めて会った時も、なんかの野菜の育て方みたいな本持ってたっけ…。
何でも農業に結び付ける農家思考には着いてけないわ…でも…。

「ほら、これなんか綺麗に出来てる!
美味しそうだろ?」
収穫している彼の生き生きした晴れやかな笑顔を見てると、こっちまで幸せになれそうな気がするの。



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