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千分の一話噺

第230章 紅葉狩り


『今年はどこに紅葉狩り行く?』
文子からのメールだ。
まだ残暑厳しい九月だと言うのに何とも気が早い話しだ。
『紅葉なんてまだ当分先だけど日光辺りはどうだ?』
一応、行き先の案だけは返しておかないとしつこいくらいにメールが来る。
こっちは仕事で忙しいと言うのに…。



「ふぅーん、日光か…
確かに紅葉の名所よね
私としてはもう少し遠くへ行きたいけど…」
私は独り言の様に呟いた。
祐司は土日しか休みがないし、関東圏内しかないかな?
「あっ、そうだ!」
私は親友の美香に連絡した。
美香は雑誌に旅行コラムを掲載するくらい旅慣れている。
「…うん、それでね…
そうそう…分かった
ありがとうね」
その夜、祐司と会う約束した。



「待ったか?」
祐司は苦笑いで駆けてきた。
「うん、10分遅刻よ」
文子は時計を見て微笑んだ。
「急に会おうなんて何かあったか?」
祐司は文子の顔を覗き込んだ。
「紅葉狩りだけどね…、ちょっと行きたい所があるの」
文子は上目遣いで答えた。
「文子が行きたいなら俺はどこでも構わないぜ」
「まだ先の話しだけどね」
文子はウィンクして見せた。
「で、どこに連れてってくれるんだ?」
「内緒!」
「何だそりゃあ
じゃあ、その時まで楽しみにしておくか…
腹減ったから何か食べに行こうぜ」
二人は腕を絡めて街に繰り出していった。



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