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千分の一話噺

第227章 困り果てた名探偵


『日本の近海で発生した台風は勢力を強めながら日本列島に接近しています』
『打ったぁ!
打球は右中間真っ二つ!』

ラジオの台風情報に耳を傾けながら、テレビでは高校野球を見ている。
「よっしゃ!先制だ!」
うちの地元の高校が初めて甲子園に出場した。
その初戦、見ない訳にはいかない。
しかし、台風も気になる。
予報通りのコースならちょうど夏祭りの日に最接近する。
下手したら直撃になるかも知れない。
「こりゃあ、祭りは中止かな?」
高校野球で喜び、天気予報でがっくりとする。


これもおばちゃん(オーナー)命令で、祭りの実行委員とかにされてしまいどっちも気になるのだ。


「まったく…、探偵の仕事を何だと思ってんだ?」
おばちゃん曰く、「どうせろくな仕事ないんだから街の為に働きな」だと…。
確かに今は犬探し一件と素行調査一件だけど、これも探偵には立派な仕事だっつぅの。

祭りの実行委員の会合は商店街の親父達が仕切ってるから、俺は顔出す程度で良いんだけど…。
「よし!今年は甲子園出場記念の祭りにするぞ!」
商店街の会長が気合いを入れて挨拶をした。
とは言え、予算もないので横断幕を作る程度になりそうだ。
台風の事は前日決めるとかで祭りの話しは5分程度で終わった。
会合はそのまま飲み会となる。
商店街の親父達はこれが楽しみで実行委員をやってるのが本音、しかも…。
「よう、探偵さん
和枝さんは来ねぇのか?」
和枝さんとはオーナーの事だ。
俺に実行委員を押し付けた訳が分かった。
親父達から次々とおばちゃんに関しての質問が飛ぶ。
オーナーがこんな人気者だとは思わなかった。
俺は苦笑いで誤魔化しながら、この飲み会が早く終わる事を願った。



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