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千分の一話噺

第226章 散歩


「ワンッ!」
俺はこの海と言う場所が嫌いだ!
水はしょっぱいし、なんかベタベタするし…。

しかし、俺の親方は海へ散歩するのが好きな様だ。
『おいおい、そんなに引っ張るなよ』
俺は早く海から離れたくてつい早足になる。
そんな俺の足を止める存在が現れた。
『こらっ急に止まるな!
…ん?
あの犬が気になるのか?』
そう、そこには見目麗しい雌のゴールデンレトリーバーが…。

俺は親方を引っ張りながら駆け寄った。
『おいこら!
…すいません、うちのバカが…』
親方同士が話ししている間、俺は彼女の匂いを嗅ぐ。
俺達は匂いを嗅ぎ合うのが挨拶だ。
それで相性も分かる。
彼女も俺の匂いを嗅いで、満更でもないようだ。

「私、最近ここに来たの
仲良くしてくれる?」
「もちろん、喜んで!」

仲良くなれたと思ったら親方に引っ張られた。
『ほら行くぞ』
「ワンッワンッ」
俺は何度も振り返りながら彼女と別れた。

それからは、あれだけ嫌いだった海の散歩が楽しみとなった。
彼女とは毎日ではないが会えば話しが出来た。

「ここのお水ってしょっぱいわね」
「この水は海って言うらしいよ」

一言二言くらいの話ししか出来ないのが残念だ。
そんな散歩が何ヶ月か続いた後、突然うちに彼女がやって来た。

『これから一緒に暮らす事になったから、仲良くしろよ』

親方同士も仲良くなった様だ。



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