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千分の一話噺

第224章 名探偵も夏休み?


今日は花火大会。
俺の事務所からよく見える。
今までは一人でビール飲みながら眺める程度だったが、今年は様子が違う。

「ほら名探偵、ボサッとしてないでそこ片付けな」
夕方、オーナーと佳奈ちゃんとコロがやってきて、事務所を片付けだした。
「なっ…何なんすか!?」
「探偵さん、今日は花火大会でしょ
ここって特等席だっておばちゃんが…」
「ワンッ!」
こいつら俺の事務所で花火見物する気だ。
窓際にテーブルが置かれ、窓に向けてソファーが並んだ。
テーブルにはオーナーと佳奈ちゃんが持ってきた弁当やお菓子が広がる。

弁当を食べながら花火が上がるのを待った。
「そう言えば、鼠は捕まえたのかい?」
オーナーが冷えたスイカを持ってきて、痛いとこを突いてきた。
「霧雨城でしょ、テレビでやってたね」
そう、鼠の野郎はマスコミにまで予告状送りやがって、地元テレビで中継されちまった。
「…見事に逃げられました」
俺は枝豆をツマミにビールをあおった。
「鼠さんは何を盗んだの?」
佳奈ちゃんはスイカを手にしていた。
「千両箱だよ…空の…」
「何で空の箱なんか?」
オーナーもスイカを食べている。
「さあ?俺が聞きたいっすよ」
苦笑いしながら俺もスイカに手を伸ばした。

ドーンッ!

そこに花火が打ち上がった。
飛び散る火花が、あの時、鼠が撒き散らかした偽小判の様に見えた。
ギャラリーがその偽小判を取ろうと騒然となる中、奴は悠々と逃げ去ったのだ。
思い出すだけでも腹が立つ。

しかし、今は花火を楽しむか。



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