第220章 テスト勉強
梅雨明けして、広がる青空に真っ白な入道雲。
シュワシュワシュワ…
炭酸の弾ける音が聞こえた。
振り返ると彼女がグラスを二つ持って立っている。
「はい、メロンソーダ」
差し出されたのは、透き通るグリーンのソーダ水。
彼女は涼しげなブルーのソーダ水を選んだ。
「ありがとう」
梅雨明けのけだるい午後。
俺は期末テストの勉強をしにクーラーの効いた喫茶店にいる。
この店は彼女んち、マスターはもちろん彼女の親父さん。
普段から無愛想な人だが、俺に対しては殊更の様に感じるのは気のせいだろうか?
「分からない所ある?」
彼女が俺のノートを横から覗き込む。
正直、分かる所の方が少ない。
「今回は追試なしで終わろうね」
彼女は笑顔で痛い所を突いて来る。
どうせ俺の成績はワーストクラスさ、と開き直りたいが、彼女の為にも追試だけは避けたい。
彼女は学年でもトップクラスの成績で、テストがある時はいつもこの店で教えてもらっている。
その彼女に教えてもらっているのに追試続きじゃ、さすがに申し訳ない気持ちになるし、親父さんの視線が更に痛い。
「よし!メロンソーダ飲んだら次の問題だ!」
気合いを入れ直し、メロンソーダを一気に煽った。
シュワシュワシュワ…
彼女の弾ける笑顔が梅雨明けの太陽の様に眩しかった。
end