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千分の一話噺

第219章 俺とあいつ⑭・癖


『今度の花火大会どうすんだ?』
あいつにメールした。
『君はどうしたい?』
返ってきた返事にイラッとした。


こいつは……、相変わらずまともな会話にならねぇな。
『俺が聞いてんだ!
行くのか?行かねぇのか?どっちだ!』
『君が行きたいなら帰るよ』
また、訳の分からない返事が返ってきた。

帰る?…こいつはまた放浪してやがるな。
『お前、またどこかに行ってるのか?』
『ちょっと暑いから北海道♪』

北海道だと…、ちょっと見ないと思えば…。
まあ国内だからまだ良いか…。
『いい加減その放浪癖止めろよな
周りがどれだけ心配すると思ってる!』
『国内なんて近所じゃない
そんなに目くじら立てないの
うん、花火大会行くよ
待ってて♪』

まったく、世話の焼けるやつだ。
そんなあいつが帰ってきたのは花火大会当日の朝だった。


「お前はどこまで自由なんだ?」
俺のイヤミもどこ吹く風のこいつは、北海道土産だと木彫りの熊を取り出した。
「良いでしょコレ
なかなか売ってなくて探したんだよ」
呆れて言葉が出てこない。
今時この熊の置物買ってくるか?
「また眉間にシワよせて…
君の悪い癖だよ」
誰がそうさせてるんだ!と心で叫んだ。
「…とりあえず、お帰り…だな」
「うん、ただいま…
今夜の花火大会楽しみだね♪」
毎度の事ながら、こいつの笑顔には敵わない。



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