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千分の一話噺

第218章 星空デート


七月七日、今日は待ちに待った七夕だ。

俺は勇気を振り絞って、文子を七夕祭りに誘った。
「あ…あの…良かったら今日の七夕祭りに…一緒に行かない?」
緊張でたどたどしい話し方になっていた。
「えっ?私で良いの?」
文子は小首を傾げた。
「もちろん!じゃあ今夜また…」
待ち合わせの約束をして別れた。
この時の俺は、満面の笑みだったと思う。



文子は今月転校してきたばかりなのだが、いわゆる一目惚れと言うやつだった。
教室に入って来た瞬間に目も心も奪われた。
だが周りの仲間からは「なんで?」と言われる。
「お前ならもっと可愛い子イケるのに…」
「お前狙いの子に恨まれるぞ」
俺はそんな言葉には耳を貸さなかった。
(こいつらの目は節穴か?あんな可愛い子を…)
そうは思ったが、こいつらとは女の子の好みはそんなに違わなかったはず…。
ちょっと疑問に感じたが俺は文子を誘う事に決めた。



「ごめんなさい、待った?」
「いや全然…」
時間通りやって来た文子は浴衣姿で更に可愛かった。
「ねぇ、なんで私を誘ってくれたの?」
「えっ…なんでって…その…可愛いから…」
文子の質問にしどろもどろになりながらも素直に答えた。
「…君には私の魔法は効かないみたいね」
「…魔法?」
文子の突然の言葉に俺は首を傾げた。
「私、魔法使いなの
いつも目立たない様に見せる魔法を掛けてるのに…」
「は?何言ってるの?」
俺は更に首を傾げた。
「信じてないわね
でも…、これなら!」
文子が指を鳴らすと目の前にホウキが現れた。
しかも浮いてる…。
「乗って!」
文子に手を引かれホウキに跨がった。


ちょっとびっくりしたけど、満天の星空を誰よりも間近で楽しめたデートだった。



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